闘争経験が次の闘争に与える影響を解析した論文が公開

闘争経験が次の闘争に与える影響を解析した論文が公開

網野君が筆頭著者の論文 “Effects of a past contest on the future winning probability in a hyper-aggressive fruit fly” が Ethology 誌に掲載されました。(Open Access)

直前の闘争の勝敗が次の闘争に与える影響は、「勝者効果・敗者効果」と言って様々な動物で観察されています(関連記事)。しかしこの効果を正しく評価するためには、かなり注意深い実験が必要です。例えば、1回目の勝者は体が大きく、もともと闘争ポテンシャルが高かったのかもしれません。だとすれば、2回目以降の闘争で勝利する確率が高くなったとしても、それは経験の影響とは言うことはできないでしょう。そうではなくて、同じ大きさの個体に 1.小さな個体をあてがってわざと勝たせた場合 と、2.大きな個体をあてがって負けさせた場合 の間で次の闘争の勝ち負けを比較しなくてはなりません。

このような綿密な操作実験をテナガショウジョウバエで行ったところ、意外にも勝者効果は検出されず、勝者・敗者のいずれもが次の闘争では負けやすくなることが明らかになりました。この効果は翌日には回復していたことから、記憶・学習などによる変化よりも、エネルギー消費による疲労がその原因として考えられます。

本人による解説はこちら