工藤さんが筆頭著者の論文がInsect Biochemistry and Molecular Biology誌に掲載されました。
Comparative analysis of the brain transcriptome in a hyper-aggressive fruit fly, Drosophila prolongata
Ayumi Kudo, Shuji Shigenobu, Koji Kadota, Masafumi Nozawa, Tomoko F. Shibata, Yukio Ishikawa, Takashi Matsuo
Insect Biochemistry and Molecular Biology 82: 11-20.
この論文では、
1.テナガショウジョウバエのオスは近縁種に比べてとても闘争性が高いこと、
2.メスの闘争性は近縁種と同程度であること、
をまず示しました。これに基づいて種間・雌雄間で比較脳内トランスクリプトーム解析を行い、
3.テナガショウジョウバエのオスだけで発現量が変化している21の遺伝子を特定しました。
これらの遺伝子は闘争性の進化に関与している可能性があると考えていますが、興味深いことにその半数以上が、キイロショウジョウバエの闘争性の異なる系統間で行われた類似の研究では見つかってこなかったものでした。種内の系統間で闘争性の変異をもたらす遺伝子と、種間で闘争性の進化をもたらす遺伝子は同じではない、ということを意味しているのでしょうか。
この研究は新学術領域「複合適応形質進化」から始まり、長い時間にわたり多くの方のご協力を得て行うことができたものです。この場をお借りしてお礼申し上げます。