空腹状態のメスの交尾受容性はエサの有無で逆になる

空腹状態のメスの交尾受容性はエサの有無で逆になる

安藤君が筆頭著者の論文がAnimal Behaviour誌に受理されました7月5日公開されました。

Food availability reverses the effect of hunger state on copulation rate in Drosophila prolongata females. Animal Behaviour 166: 51-59

Yuki Ando, Toshiki Yoshimizu, Takashi Matsuo

8月24日まで、こちらから誰でも閲覧・ダウンロードできます

昆虫のメスは、多くの場合空腹状態では交尾受容性が下がると考えられており、その理由は採餌行動とのトレードオフが生じるためだとされています。例外として、婚姻贈呈が見られる種では逆に空腹状態のメスの交尾受容性が上がることが報告されており、オスからの贈呈物を得るために交尾を受け入れるのだと考えられています。

ところがテナガショウジョウバエでは、婚姻贈呈らしき行動は見られないにもかかわらず、空腹状態にした方が交尾率が上がることが経験的に分かっていました。今回の論文では、

1.エサがその場にあるかどうかで、空腹状態が与える影響が全く異なること

2.エサが無い場合、空腹状態のメスは満腹状態のメスよりも交尾を受け入れないこと

3.エサがある場合、空腹状態のメスは満腹状態のメスよりも交尾を受け入れやすいこと

を明らかにしました。もしかすると、この性質は他の昆虫でも存在し(これまで実験をエサの無い状態だけでやっていたのでわからなかった?)、婚姻贈呈が進化するための前適応として働いているのかもしれません。